この記事は物語の核心に迫るネタバレはありませんが、内容には触れますので、未視聴の方は自己責任でお願いします。
青山剛昌原作・大人気シリーズの劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』を観てきた。
僕がコナンの映画を劇場で観たのは7年ぶりである。
僕のコナン知識は、原作と映画を軽〜く追いかけた程度です
一部では「怪盗キッドがメインの作品は人気がない」とか言われているらしいが、そんなことは関係ないぐらい面白かった。
コアファン向けの要素は強かったが、僕のようなライト層でも楽しめるバランスの良い作品だったと考える。
情報量の多さと火薬量の少なさ
今回の舞台は、北海道・函館の五稜郭。
お宝の在処が隠された刀を巡るバトルロイヤルになっている。
コナン&平次、怪盗キッドの他に、複数の勢力が刀を狙い、それぞれの思惑が複雑に絡み合う。
まず、謎解き要素は情報量が多くて難しい。
テンポも速く、雰囲気だけで追いかけてるような感じ。
しかし、徐々に点と点が繋がり、きちんと伏線が回収されていくスッキリ感は、さすがはコナンだと感服した。
そんな情報量の多さとは反対に、最早コナン映画の名物ともいえる「爆発」に関しては、今回は控えめである。
五稜郭タワーの1本でも吹き飛ばせば良かったのに……さすがに無理だったようだ。
その代わり剣劇を中心にしたアクションが多く、1人1人に活躍の場が与えられていた点も良かった。
個人的にツボだったのは、今回のゲストキャラクター・福城聖。
剣が強くて、袴を着ながらバイクやセスナに乗るcv.松岡禎丞の正統派イケメン。
キ◯トくん、ちょっとゲストにしては詰め込みすぎじゃない?
怪盗キッドではなく黒羽快斗の物語
今回は『コナン』以外の青山作品のキャラクター達が登場し、まさに青山剛昌ユニバースと呼べる夢の共演を果たしている。
しかし、僕のように『コナン』しか知らないライト層からすれば、リアクションに困ってしまうのが正直なところ。
沖田くんはまだわかるが、沖田くんが連れてきたスキンヘッドのcv.津田健次郎は完全に「お前誰やねん」状態。
同じ声繋がりの土方歳三の子孫かと思ったが、そんなことはなかったぜ!
けれども、物語にがっつり絡むわけではなく、予備知識がなくても楽しめたので、ゲストの扱い方は良い塩梅だなと思った。
そして、今回1番良かったのは、怪盗キッドと中森警部の関係性である。
キッドと中森警部は、ルパン三世と銭形警部のような関係だが、同時に「キッドの幼なじみ・青子の父親」という複雑な関係でもある。
物語中盤で中森警部が銃弾に倒れたことで激しく動揺し、病室で父を心配する青子をこっそり見守るキッド。
中森警部を介して、僕らがよく知る「コナンのライバル・怪盗キッド」ではなく、その正体である「男子高校生・黒羽快斗」の内面が見られたのは、人物像の幅が広がったようでとても良かった。
ここはキッドが主役の『まじっく快斗』の要素が強いですね
最後に
ラストで明かされた「キッドの真実」は確かに衝撃的だった。
しかも、細かい場面でラストに繋がる伏線を散りばめていたのも良かった。
ただ「原作の根幹を揺るがすか?」と言われれば、そうでもないと思うので、あまりハードルを上げすぎると拍子抜けするかもしれない。
これは平次と和葉の恋愛模様にもいえる話
なので、あくまで「コナンの映画」としてフラットな気持ちで観ることをオススメしたい。
(文・西森圭人)
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