【感想】『仮面ライダー剣』「職業ライダー」から「真のライダー」への成長劇

特撮・アニメ

僕が仮面ライダーの中で1番好きな作品は、平成ライダー5作目『仮面ライダー剣(ブレイド)』である。

今でこそお気に入りだと胸を張って言えるが、最初の頃はこの作品に明確な魅力を感じていなかった。

『剣』のコンセプトは「仮面ライダーを職業にしている」こと。

これを最初に知った時はいまいちピンと来なくて、実際に視聴してもサラリーマンや職人みたいに働いている印象を受けなった。

しかし最後まで観ると、『剣』は「職業ライダー」から「真のライダー」へと成長する物語だと気づいた。

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第1話で職場を失う

主人公・剣崎一真=仮面ライダーブレイドは、BORADという研究組織にスカウトされ、そこが開発した変身ベルトを使って怪人アンデッドと戦う。

だが、第1話の時点で、BOARDはアンデッドの襲撃にあい壊滅してしまう。

剣崎を含め生き残った数名は、組織からのバックアップがない中で(後に給料をもらっていたことが明らかになるが)、独自でアンデッドと戦い続けることになった。

フリーランスと言われたらまだ納得できるが、これではほとんど過去作がやっていたことと変わらないのではないか。

僕が『剣』の掲げる「職業ライダー」にいまいちピンと来なかったのはこれが理由である。

ヒーローに目覚めた瞬間

転機が訪れたのは26話。

強敵エレファントアンデッドに苦戦する剣崎たちの前に嶋と名乗る謎の男が現れる。

「仕事だから」と焦る剣崎に、嶋は「義務や使命だけでは勝てない」と諭す。

そして迎えたリベンジ戦。剣崎は逃げ遅れた女の子をエレファントアンデッドの攻撃から咄嗟に庇った。

そこで剣崎は気づく。俺を動かすのは義務や使命ではない、そこにいる人を守りたいという想い、人を愛しているから戦うのだと。

ブレイドはジャックフォームに進化し、エレファントアンデッドに勝利した。

今まで誰かに与えられた仕事として戦ってきた剣崎が、自らの考えで戦う理由を見つけた瞬間である。

物語が半分過ぎたこのタイミングで、僕はようやく作品の魅力、仮面ライダーブレイドとはどんなヒーローなのかに気づくことができた。

終盤に入ると、BOARDの元理事長で剣崎たちの雇い主である天王寺との対決が始まる。

天王寺は自らの野望のためにアンデッドを解放させ、剣崎たちを戦わせていたことが判明する。

天王寺を止めるために共闘する4人のライダーたち。

「私という新たな神を生み出すことが君たちの仕事だった」と語る天王寺。

それに対し「誰に命じられたわけでもない、全ての人を守りたい、そう願った」と返す剣崎。

そこには雇われて働く仮面ライダーの姿はなく、1年の戦いを通じて真のヒーローに目覚めた仮面ライダーの姿があった。

最後に

『仮面ライダー剣』は仮面ライダーを職業として扱っただけの作品ではないと考える。

職業、すなわち誰かに与えられた仕事や役目をこなすこと。そこから仕事の枠を超えて、なぜ戦うのかを見つけ出し、真の仮面ライダーに成長していく物語である。

それはBOARDに雇われた剣崎や橘朔也=仮面ライダーギャレンだけでなく、アンデッドとしての本能に動かされた相川始=仮面ライダーカリスや、アンデッドに心を操られた上城睦月=仮面ライダーレンゲルにも当てはまる。

この成長劇があったからこそ、剣崎は世界を救う最後の切り札になれたのだと1人のファンとして声を大にして言いたい。

(文・西森圭人)

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