【感想】『ウルトラマンデッカー』「今」を一生懸命頑張る、それが「未来」に繋がる

特撮・アニメ

『ウルトラマンデッカー』は前作『ウルトラマントリガー』と世界観を共有した直接的な続編である。

3000万年前からの因縁、つまり「過去」を重点に置いた『トリガー』に対し、「未来」に重点を置いた『デッカー』。

『デッカー』はそこからさらに踏み込んで、彼方の先にある「未来」のために、目の前にある「今」を一生懸命頑張る物語となった。

それを体現したのは、夢を持たない主人公アスミ・カナタの生き様だったと僕は考える。

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「今」を進む主人公カナタ

ウルトラマンデッカーに変身する主人公アスミ・カナタは明るい熱血漢である。

しかし、明確な夢や目標を持っていなかった。

「宇宙で働きたい」イチカ、「かつて自分が助けられたように、今度は自分がGUTS-SELECTに入って皆を助けたい」リュウモン、さらには「人々を笑顔にしたい」前作『トリガー』主人公マナカ・ケンゴと出会うカナタ。

カナタは「自分の夢や目標は何か」を作品内での課題として模索し続けることになる。

そんなカナタが第1話から語られている長所がある。それは目の前のことに全力で取り組む姿勢だ。

スフィアが襲来したことがきっかけでGUTS-SELECTに入隊する決意をしたカナタ。

だが元々実家の煎餅屋を手伝う一般市民でしかなかったカナタは、先に訓練生となったイチカやリュウモン、その他同期メンバーに遅れを取ってしまう。

入隊試験に合格するために、影で努力をして追いつこうとするカナタ。

たとえ夢や目標がなくても、できることから始める、今やるしかねぇんだ。

カナタの「今」を大切にする考え方はすでに完成されていたとわかる。

「未来」のために「今」を戦うウルトラマン

中盤に入り、未来からやってきた異星人アガムスとの戦い、その中で同じく未来から来た先代デッカーと出会うカナタ。

カナタの変身アイテムは未来から来たもので、つまり、カナタは過去に行けなかった先代デッカーの代役として戦っていたことになる。

カナタよりも経験値が高く、カナタよりも「ヒーローとしての生き様」がはっきりしていた先代デッカー。

それでもカナタは戦う役目を譲らなかった。「今」を生きるカナタにとって、目の前にある戦いを、他の人(しかも未来人)に任せられない。

これが夢や目標を持たないカナタが「アスミ・カナタ=ウルトラマンデッカーというヒーロー」として確立させた瞬間だと思う。

地球人に復讐を企むアガムス。アガムスは地球人が宇宙に進出したせいで愛すべき妻を失ったと憤る。

未来の出来事を知って悩むカナタだったが、「今」を守る決意を強くした彼は前に進み続けた。

未来は変わるかもしれない、未来はまだわからない。

オマージュ元にもなったウルトラマンダイナの後押しを受けて、カナタは目の前にある戦い=アガムスを止める戦いに挑んだ。

最後に

結局、最終回までにカナタは自分の夢、戦いの先にあるものを見つけることはなかった。

しかし、カナタは「俺はこれからもこうやって生きていく」とケンゴに告げる。

『ウルトラマンデッカー』は夢を手に入れる物語ではない。目の前のことを1つ1つこなしていく、それが彼方の先にある未来に繋がると信じて。

それがアスミ・カナタ=ウルトラマンデッカーの生き様であり、ヒーローとしての考え方である。僕は彼の物語を観てそう感じた。

(文・西森圭人)

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